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2001 物質化学(無機) - 6. 分子軌道法

6.分子軌道法


6.1 水素分子

反転 i
- = (A - B) u
反結合性
ungerade (独)
= odd / 奇
反対称
(奇関数)
+ = (A + B) g
結合性
gerade (独)
= even / 偶
対称
(偶関数)


6.2 直線分子の軌道対称性

, , 軌道>

<節面と

<高次結合>


[問題 6.1] Mo2 分子は六重結合を持つとされている。
 関係する軌道を図示し、電子配置を示せ。


6.3 等核二原子分子 (Dh)

6.3.1 O2の分子軌道 (MO)

<結合次数>
結合次数 = (結合性軌道の電子数 - 反結合性軌道の電子数) / 2
O2 の結合次数 = (10 - 6) / 2 = 2
<常磁性>
フントの規則 : 縮退軌道 電子はスピンが高くなる配置
  [解釈] 交換エネルギー安定化, 電子間反発
O2 の電子基底状態は三重項 [1g(x)1 1g(y)1]   (常磁性)
S (スピン量子数) 2S + 1 (スピン多重度)
一重項01
三重項(1/2 + 1/2 =) 13 常磁性

6.3.2 N2 の MO

<光電子スペクトル>
・光電子の運動エネルギー = h - I.E.
    軌道エネルギーの測定
・N2 の光電子スペクトル
[資料 6.3]
    N2 の軌道順序 : 2u, [1u, 3g] - O2 の場合と逆転

<N2 の分子軌道>

<第2周期元素 X2 分子の MO>


[問題 6.2]
 1) 酸素分子 O2 が電子基底状態で3重項である理由を説明せよ
 2) C2 分子・イオン (荷電 -2〜+2) について、 その結合次数を推定せよ


6.4 異核二原子分子 (Cv)

  ・異なる AO から生成する MO :
エネルギー差-大
  相互作用-小
  局在性が高い


6.4.1 HF の分子軌道

1s(H)2s(F)2p(F)
4 1.05-0.520.82反結合性
1 1.00非結合性*
3 -0.530.410.70非結合性*
2 0.150.95-0.08結合性
  * 孤立電子対, lp [lone pair]

  結合次数 = 1

cf.) 2-非結合性, 3-結合性 とすることもある。