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2003 物理化学 II - 10章
10. 磁性
10.1 磁化率
|
図 10.1 Gouy 天秤 |
- 磁化 M : 単位体積あたりの平均磁気双極子モーメント
- (10.1)
- : 体積磁化率 [-],
H : 磁場 [A m-1]
- モル磁化率
- (10.2)
- Vm : モル体積
[m3 mol-1]
- 磁束密度
- (10.3)
- 0
: 真空の透磁率 = 4
10-7 H m-1
常磁性
: > 0
反磁性
: < 0
cf.) Gouy 天秤
ミクロな量との関係
- (10.4)
- N : 数密度,
m : 分子の永久磁気双極子モーメント,
: 分子の磁気分極率
- N Vm
= NA であるから
- (10.5)
- cf.) Debye の式
(9.10)
- cf.) = Curie の法則
10.2 永久磁気モーメント
- 不対電子スピン由来の磁気モーメント
- (10.6)
- S : 合成電子スピン量子数, ge :
電子の g 値 = 2.002319 ...
- B
: ボーア磁子
- (10.7)
- 電子スピンによるモル磁化率
- (10.8)
- (10.6), (10.8) スピンオンリー式
- (磁気モーメントには電子の軌道角運動量からの寄与もある)
|
図 10.2 強磁性・反強磁性 |
[強磁性・反強磁性]
常磁性固体 低温
・スピンの平行配向 : 強磁性(相) ... 永久磁石
・ 〃 反平行配向 : 反強磁性(相)
10.3 誘起磁気モーメント
・磁場に誘起される循環電流は反磁性
S = 0 の分子は殆ど反磁性
・S > 0 の分子は "温度に依存する" 常磁性
- [軌道常磁性]
- 低い LUMO を持つ S = 0 の分子
軌道常磁性
- = TIP (温度に依存しない常磁性,
Temperature-Independent Paramagnetism)
- LUMO を電子が逆に回る 常磁性電流
例題 10.1
[Mn(NCS)6]4- 錯体の Mn
は5つの不対電子をもつ。 磁気モーメントを
B 単位で予想せよ。
(解) S = (1/2) 5 = 2.5
=
2.0023
(2.53.5)1/2
B =
5.92 B
問題 10.1
気体 O2 は常磁性を示し、 293 K におけるモル磁化率は
4.33 10-8 m3
mol-1 である。 常磁性は主に電子スピンによると仮定して、
気体 O2 のスピン量子数と不対電子数を推定せよ。
ただし、
[K m3 mol-1] である。