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2001 物理化学 II - 11章
11. 磁性
11.1 磁化率
- 磁化 M : 単位体積あたりの平均磁気双極子モーメント
(11.1)
-
: 体積磁化率 [-],
H : 磁場 [A m-1]
- cf.) 磁気モーメント : [A m2 = J T-1]
- モル磁化率
(11.2)
- 磁束密度
(11.3)
-
0 : 真空の透磁率
= 4
10-7 H
m-1 (H m-1 = N A-2 =
J C-2 m-1 s2)
常磁性 :
> 0
反磁性 :
< 0
 |
図 11.1 Gouy 天秤 |
(11.4)
- m : 分子の永久磁気双極子モーメント,
: 分子の磁気分極率
- N
Vm
= NA であるから
(11.5)
- cf.) Debye の式
- Curie の法則
(11.6)
- cf.) Gouy 天秤
11.2 永久磁気モーメント
- 不対電子スピン由来の磁気モーメント
(11.7)
- S : 合成電子スピン量子数, ge :
電子の g 値 = 2.002319..
-
B : ボーア磁子
(11.8)
 |
図 11.2 強磁性・反強磁性 |
- 電子スピンのモル磁化率への寄与
(11.9)
- (11.7), (11.9)
スピンオンリー式
- 磁気モーメントには電子の軌道角運動量からの寄与もある
- [強磁性・反強磁性]
- 常磁性固体
低温
- ・スピンの平行配向 : 強磁性(相)
- ・ 〃 反平行配向 : 反強磁性(相)
11.3 誘起磁気モーメント
- ・磁場に誘起される循環電流は反磁性
S = 0 の分子は殆ど反磁性
- ・S > 0 の分子は "温度に依存する" 常磁性
- [軌道常磁性]
- 低い LUMO を持つ S = 0 の分子
軌道常磁性 = TIP (温度に依存しない常磁性,
Temperature-Independent Paramagnetism)
- LUMO を電子が逆に回る
常磁性電流
例題 11.1
[Mn(NCS)6]4- 錯体の Mn
は5つの不対電子をもつ。 磁気モーメントを
B 単位で予想せよ。
(解) S = (1/2)
5 = 2.5
=
2.0023
(2.5
3.5)1/2
B =
5.92
B
問題 11.1
気体 O2 は常磁性を示し、 293 K におけるモル磁化率は
4.33
10-8 m3
mol-1 である。 常磁性は主に電子スピンによると仮定して、
気体 O2 のスピン量子数と不対電子数を推定せよ。
ただし、
[K m3 mol-1] である。