(c) 2000 by A. Miyoshi, Univ. Tokyo
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2000 物質化学(無機) -
7. 多原子分子と結晶の分子軌道
7.多原子分子と結晶の分子軌道
7.1 多中心結合
<3中心2電子結合>
ex.) B2H6
の橋架け部 (B-H-B) の部分分子軌道
[資料 7.1]
<3中心4電子結合>
ex.) PCl5
の面外 Cl-P-Cl の部分分子軌道
[資料 7.2]
[問題 7.1]
1) (BeCl2)n [5.1.1]
の結合を多中心結合で説明せよ
2) [ClHCl]- イオン (直線構造) の分子軌道と結合次数を示せ
7.2 超原子価
ex.) PCl5, SF6
古典解釈 :
d 軌道の関与
(第2周期元素では見られない
= 2d 軌道は存在しない) ?
部分 MO 法 (3中心4電子結合) :
PCl5 ではよい近似
SF6 にも適応できるが、
6 結合が等価であることは説明不可能
<SF6 の MO>
7.3 XH2 分子
第2周期元素の XH2 分子
<分子軌道>
<Walsh 則>
- (定性的な)分子軌道エネルギーの構造による変化
から、安定な構造が決定されるという規則。
[Walsh ダイアグラム]
(軌道エネルギー vs. 結合角)
[資料 7.4]
- ここの例 (XH2)
では全電子エネルギーが極小となる結合角をとる
・価電子数 ≦ 4 では、
1u -
1b2 のエネルギーが極小となる直線構造
・価電子数 > 4 では、
1u -
3a1 のエネルギーの低下が大きいので屈曲構造
| BeH2 | BH2
| CH2 | NH2 | OH2
|
価電子数 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8
|
結合角 (°) | 180 | 131 | 136 | 103 | 105
|
[問題 7.2] BeH2 分子は直線構造、
H2O 分子は屈曲構造をとる理由を説明せよ
7.4 結晶の分子軌道−バンド
<バンド>
[資料 7.5]
<フェルミ (Fermi) 準位>
- フェルミ 準位 = 電子に占有されている最高の準位 = HOMOエネルギー
[資料 7.7]
- フェルミ分布 - 熱分布
[資料 7.8]
<金属の原子化エンタルピー>
- 原子化エンタルピー = 金属結晶を原子にするのに必要なエンタルピー
〜 金属結合のエネルギー
- 遷移金属 (sd バンド) : 〜 6 族 (価電子 6) で最大
- 典型元素 (sp バンド) : 〜 14 族 (価電子 4) で最大
[資料 7.9]
(バンド中央以下 ... 結合性, 中央以上 ... 反結合性)
<電気伝導度>
=
0
exp(- Eg / 2kT)
(7.1)
Eg: バンドギャップ, k: ボルツマン定数,
T: 絶対温度
Eg >> 2kT ... 絶縁体
Eg 〜 2kT ... 真性半導体
[資料 7.10]
- 不純物半導体 : 異種元素の混入したもの
p 型半導体 ... アクセプタレベル
n 型半導体 ... ドナーレベル
[資料 7.10]
[問題 7.3] 第6周期金属の中で、W は最高、Hg は最低の融点を持つ。
この理由を考えよ。
[問題 7.4] ある固体の抵抗 (
1/)
の温度依存性を測定したら、以下のようになった。
温度 / K | 313 | 425
|
抵抗 /
| 11.8 | 0.35
|
この固体は以下のどの物質と考えられるか?
物質 | C (ダイアモンド)
| Si | Ge | GaAs | InAs
|
バンドギャップ / eV | 5.47
| 1.12 | 0.66 | 1.42 | 0.36
|