例1: n-ヘキサン(SMILES)! n-hexane fuel{ 'n' CCCCCC } |
例2: 1-ペンテン(SMILES)! 1-pentene fuel{ C=CCCC } |
例3: イソオクタン(SMILES)! iso-octane = ! 2,2,4-trimethylpentane fuel{'i'CC(C)(C)CC(C)C} |
例4: イソブタノール(SMILES)! iso-butanol fuel{ 'i' CC(C)CO } |
例5: 4-イソプロピルヘプタン(SMILES)fuel{CCCC(C(C)C)CCC} |
例6: 4-イソプロピルヘプタン(旧記法)alkane{ heptane(4-et(1-me)) } |
例7: エタン/n-ブタン混合物alkane{ ethane } fuel{ CCCC } |
例8: メチルシクロヘキサン(SMILES)fuel{'c'C1(C)CCCCC1} |
例9: メチルシクロヘキサン(旧記法)alkane{[c]c-hexane(1-me)} |
燃料入力
現在のバージョンの KUCRS の combust プログラム
(run_comb で最初に実行されるプログラム) では
(1) 任意の非環状飽和炭化水素、
(2) 5-7 員環の単環飽和炭化水素、
(3) 任意の非環状アルケン (モノエン)、
(4) 任意の非環状アルコール、
を燃料分子として指定することができます。
右の表にいくつかの例を示してあります。
アルカンのみが指定できる旧記法に加え、Rev. 2010.02.21 以降の
KUCRS では SMILES による、燃料分子の指定が可能です。
両者は複数の燃料を指定する場合に混在することも可能です。
SMILES 記法
SMILES 記法による、炭化水素燃料分子の指定の規則は以下の通りです。- 燃料の指定は 'fuel{' で始まり '}' で終わる。
- 2種以上の燃料の混合物は連続した燃料指定によって指定される。
- 'fuel{' の直後の、単引用符 (') で囲った文字を、燃料の化学種名の 前置字として指定することができる。 例えば、右の例1の n-ヘキサンでは、 'nC6H14' となるが、 'n' がない場合は 'C6H14' となる。
- 化合物の構造を SMILES で指定する。
旧記法
旧記法による、炭化水素燃料分子の指定の規則は以下の通りです。- アルカンの指定は 'alkane{' で始まり '}' で終わる。
- 2種以上のアルカンの混合物は連続したアルカン指定によって指定される。
- 'alkane{' の直後に置かれた、鉤括弧 ('[ ]') で燃料の化学種名の前置字を 指定することができる。 例えば、右の例9のメチルシクロヘキサンは、 'cC7H14' となるが、 '[c]' がない場合は 'C7H14' となる。
- アルカンは、主鎖(置換位置-置換基)(..-..)... のように指定する。 置換は、4-イソプロピルヘプタンの例6に示すように、 再帰的に指定することができる。
- 主鎖には、環状アルカンを表す、c-pentane, c-hexane, または c-heptane を指定することができる。(環の員数は 5-7 のみサポートされる)
- 改行、空白文字は任意の位置に挿入することができる。
- '!' から行末まではコメントと見なされ、無視される。
KUCRS のカスタマイズ
ベータ・バイナリ・リリースでは制約がありますが、
いくつかの自動生成規則はユーザによってカスタマイズすることが可能です。
カスタマイズが可能な部分は
KUCRS
ディレクトリ (フォルダ) の中の
libdata
ディレクトリ (フォルダ) 内のテキストファイル中にあります。
ベース・メカニズム
低炭素数化学種のベース・メカニズムは、
libdata
ディレクトリの以下の3つのファイルに書かれています。
bas_spcs.inp
(Chemkin 書式の elements ブロックと species ブロック)bas_thrm.dat
(thermo ブロック)bas_rxns.inp
(reactions ブロック)bas_tran.inp
(transport データ)
mol_main.dat
を一貫性を損なわないように編集する必要があります。
反応速度マクロ
反応の種類に固有な速度パラメータは KUCRS 内部にマクロ名とともに
保存されています。 例えば、
Habs/by-H/Prim
は、一級(primary)炭素からの、水素原子による水素引抜反応の速度定数です。
マクロ名と対応する速度パラメータは、ファイル rxn_macr.dat
から読み込まれます。 このファイル内の速度パラメータは問題なく
変更することができます。 しかしながら、現在のバージョンの KUCRS
では新たな反応の種類を追加することはできません。
(このためには、ソースコードの変更が必要です。)熱力学データ
熱力学データの表は、
libdata/GROUPS
ディレクトリの
中に置かれています。 これらのファイル書式は THERM プログラムの書式です。
これらのファイル中の値を編集することで、すでに定義されているグループの
熱力学データを改訂することができます。
KUCRS グループ定義ファイル (grp_main.dat
, grp_cyc.dat
,
grp_rad.dat
) も一貫性を保ちながら、同時に編集することで、
新たなグループの定義や、グループ定義の変更も可能です。