KUCRS-KUCRSって?
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KUCRS
– Knowledge-basing Utilities for Complex Reaction Systems –

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KUCRS
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KUCRSって?

  KUCRS (Knowledge-basing Utilities for Complex Reaction Systems) は、 炭化水素の酸化・燃焼反応系などの、気相化学反応モデル開発のための ユーティリティソフトウェア・ライブラリです。
  燃焼などの炭化水素酸化系は、非常に複雑な化学反応システムです。 例えば自動車用ガソリンは、百種以上の有機化合物の混合物です。 さらに、その成分である、C7 から C8 の純アルカンの燃焼を記述するための「詳細反応モデル」には、 各々、数千の反応過程が必要であると言われています。これは、 鎖状化合物を構成しやすい、という有機化合物の特性によるものです。
  その一方で、有機化合物のこの多体性は、 類似の化合物からの類推による、性質の推定を可能にしています。 このような類推の妥当性は、例えば、よく知られた、 ベンソンの「グループ加性則」1) の成功にみることができます。 ベンソン自身、いくつかの見事な、類推による反応速度の推定を 示していますが、残念ながら、反応速度に関するグループ加性則は、 確立されたというには、程遠いレベルにあります。これは主に、 化学反応に関する定量的で詳細な知識が不足しているためです。
  KUCRS をベースに開発された 'combust' という名前のソフトウェアは、燃料分子を指定するだけで、 詳細化学反応モデルを自動的に生成します。 このソフトウェアの目的は、 同じ「規則」に従って詳細反応機構を容易に生成することができるように することにあります。 これによって、生成されたモデルの実験との比較から、 化学反応の知識を系統的に改善していくことができるからです。 いうまでもないことですが、手作業で、誤りなく、何千・何万という反応過程を 同じ規則に従って生成することは、現実的ではありません。
  KUCRS の究極の形は、化学反応の詳細な知識がなくても、 信頼できる、詳細反応モデルを生成できるソフトウェアです。 しかし、現在の KUCRS にそれを期待しないで下さい。 もちろん、 限界や信頼性の問題があることを理解した上で、多くの実例の シミュレーションに使われることを歓迎いたします。 さらに、 問題点などのフィードバックは、貴重な情報ですので、歓迎いたします。

1) S. W. Benson, Thermochemical Kinetics, 2nd Ed., Wiley, New York, 1976.