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2002 物理化学及び演習 II [第3部] : 演習問題 2

[演習問題 2]   分子の振動 (HF)

  一般に赤外領域の光吸収やラマン散乱は 分子の振動数と一致したところに観測される。 二原子分子の振動は2個の原子が「ばね」でつながった、 調和振動子として近似することができ、 古典振動運動は x を原子間の距離 r の平衡位置 re からのずれ (すなわち x = r - re ) とすると、

    (2-1)

となる。振動数 および、対応する波数 は、以下のようになる。

,       (2-2)

ここで k f   は、ばね定数 (力の定数)、 は換算質量 [演習問題 1 の (1-7) 式]、 c 0   は真空中の光速である。
  また、一般に化学結合は原子核の電荷と電子の数のみに依存し、 原子を同位体 (原子核の電荷は等しいが質量は異なる) に置き換えても、 結合の強さ (すなわち、力の定数 k f   ) は変化しない。

[問題 2]
  気相の HF (1H19F) 分子は波数 3961.4 cm-1 に赤外吸収スペクトルが観測されている。 DF (2H19F) 分子の赤外吸収波数 [単位 : cm-1] を推定し、実測値の波数 : 2906.8 cm-1 と比較せよ。
  (原子の質量は、m (H) = 1.0, m (D) = 2.0, m (F) = 19 amu を用いよ)