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2001 物質化学(無機) - 過去問

2000 年度以前の試験問題
 1998-2000 年度の試験問題を公開しています。 講義内容は年度によって少しづつ異なりますので、過去の問題の中には 2001 年度の講義では触れない部分も若干含まれています。

2000 年度
科目名
物質化学(無機系化合物)
教官名
三好 明
7月26日2時限
試験時間90分
指定クラス
  2年理1 (01-09, 26-27)
  2年理23 (06, 08-09)
解答用紙

両面2枚
計算用紙

なし
持ち込み

不可

物質化学(無機系化合物)試験問題

  以下の問に答えよ。必要に応じて図表を参照せよ。
    (試験中は問題に関する質問は一切受け付けない

表 1.
正多面体半径
正四面体 〜0.225
正八面体 〜0.414
立方体 〜0.732

問 1. 以下の原子またはイオンの基底状態の電子配置を書け。
  a) P,   b) Y,   c) Cr3+,   d) Na+

問 2. H-Cl, Na-Cl 結合はどちらがイオン結合性が強いか? 根拠を示して答えよ。

問 3. 右の表 1 は、半径 1 の球で構成される正多面体間隙にちょうど入る 球の半径を示したものである。イオン半径 r (Na+) = 0.96 , r (Cs+) = 1.69 , r (Cl-) = 1.81 から、a) NaCl, b) CsCl 結晶の (1)正イオンに対する陰イオンの配位数 (2)構造 を予想せよ。 結晶構造は陰イオンを 、陽イオンを で表して図示すること。 結晶構造の名称を示す必要はない。

図 1.
a)
b)
c)
d)

問 4. 酸素と硫黄の代表的な単体はそれぞれ O2, S8 である。このような違いの起こる理由を説明せよ。

問 5. 右の図 1 は二原子分子の分子軌道を模式的に示したものである。 a) - d) それぞれの軌道の Cv 対称種 (, など)、軌道角運動量の分子軸への射影の量子数 を示せ。

問 6. BF3, B2H6 分子に関して以下の問いに答えよ。
  a) それぞれの構造を図示し、その対称性を点群の記号で示せ。
  b) BF3 と比較して BH3 は不安定で二量体 B2H6 となりやすいのはなぜか。
  c) 二量体 B2H6 に特有の結合について説明せよ。

問 7. 第6周期金属の中で、W は最高、Hg は最低の融点を持つ。 この理由を説明せよ。

問 8. 以下の反応における酸と塩基を判別せよ。 また平衡はどちらに偏っているかを ('右' または '左' で) 答えよ。
  a) [AgCl2]-(aq) + 2 CN-(aq) [Ag(CN)2]-(aq) + 2 Cl-(aq)
  b) CH3HgI + HCl CH3HgCl + HI

問 9. [Mn(NCS)6]4- の磁気モーメントを測定したら 6.06 B であった。 磁気モーメントはほぼ spin only 式、 に従うとして、中心金属の電子配置を t2gx egy の形で示せ。

表 2. 酸・塩基の分類
硬い中間軟らかい
酸: H+, Li+, Na+, K+,
Be2+, Mg2+, Ca2+,
Cr2+, Cr3+, Al3+,
SO3, BF3
Fe2+, Co2+, Ni2+,
Cu2+, Zn2+, Pb2+,
SO2, BBr3
Cu+, Ag+, Au+, Tl+, Hg+,
Pd2+, Cd2+, Pt2+, Hg2+,
BH3
塩基: F-, Cl-, OH-, H2O,
NH3, CO32-, NO3-, O2-,
SO42-, PO43-, ClO4-
NO2-, SO32-,
Br-, N3-, N2,
C6H5N, SCN-
H-, R-, CN-, CO, I-,
SCN-, R3P, C6H6,
R2S
(下線の原子が配位点)

表 3. 元素の周期律表
1234567 8910111213 1415161718

凡例
1
1.008
1

H
2.20
原子量

原子番号
元素

電気陰性度
(Allred-
Rochow)
4.003
2

He
-
2
6.941
3

Li
0.97
9.012
4

Be
1.47
10.81
5

B
2.01
12.01
6

C
2.50
14.01
7

N
3.07
16.00
8

O
3.50
19.00
9

F
4.10
20.18
10

Ne
-
3
22.99
11

Na
1.01
24.31
12

Mg
1.23
26.98
13

Al
1.47
28.09
14

Si
1.74
30.97
15

P
2.06
32.07
16

S
2.44
35.45
17

Cl
2.83
39.95
18

Ar
-
4
39.10
19

K
0.91
40.08
20

Ca
1.04
44.96
21

Sc
1.20
47.87
22

Ti
1.32
50.94
23

V
1.45
52.00
24

Cr
1.56
54.94
25

Mn
1.60
55.85
26

Fe
1.64
58.93
27

Co
1.70
58.69
28

Ni
1.75
63.55
29

Cu
1.75
65.39
30

Zn
1.66
69.72
31

Ga
1.82
72.61
32

Ge
2.02
74.92
33

As
2.20
78.96
34

Se
2.48
79.90
35

Br
2.74
83.80
36

Kr
-
5
85.47
37

Rb
0.89
87.62
38

Sr
0.99
88.91
39

Y
1.11
91.22
40

Zr
1.22
92.91
41

Nb
1.23
95.94
42

Mo
1.30
(99)
43

Tc
1.36
101.1
44

Ru
1.42
102.9
45

Rh
1.45
106.4
46

Pd
1.35
107.9
47

Ag
1.42
112.4
48

Cd
1.46
114.8
49

In
1.49
118.7
50

Sn
1.72
121.8
51

Sb
1.82
127.6
52

Te
2.01
126.9
53

I
2.21
131.3
54

Xe
-
6
132.9
55

Cs
0.86
137.3
56

Ba
0.97
La-
Lu
178.5
72

Hf
1.23
180.9
73

Ta
1.33
183.8
74

W
1.40
186.2
75

Re
1.46
190.2
76

Os
1.52
192.2
77

Ir
1.55
195.1
78

Pt
1.44
197.0
79

Au
1.42
200.6
80

Hg
1.44
204.4
81

Tl
1.44
207.2
82

Pb
1.55
209.0
83

Bi
1.67
(210)
84

Po
1.76
(210)
85

At
1.96
(222)
86

Rn
-
7
(223)
87

Fr
0.86
(226)
88

Ra
0.97
Ac-
Lr
(261)
104

Rf
-
(262)
105

Db
-
(263)
106

Sg
-
(262)
107

Bh
-
(265)
108

Hs
-
(266)
109

Mt
-

1999 年度
担当教官: 三好 明
試験日時: 平成11年9月7日(火)10:50 〜 12:20(90分)
指定クラス: 2年理1(09-14, 29)・2年理23(01-06, 16)
教科書・ノート・資料などの持ち込みは不可
答案用紙: 両面2枚
(印刷不鮮明の場合以外、試験問題に関する質問は受
け付けない)

物質化学(無機系化合物)試験問題

以下の問に答えよ。必要に応じて、下の周期律表を参照せよ。


1) 原子の M 殻(主量子数 = 3)には、最大何個の電子が収容できるか? 方位量子数ごとに、各々の軌道に収容可能な電子数を示した上で答えよ。
2) 構成原理に基づいて、以下の原子の基底状態の電子配置を書け。
  a) Si, b) Br, c) Ti
3) 12 族元素はしばしば、典型元素に分類される。この理由を、 2価イオン(M2+)の電子配置を示した上で答えよ。
4) 気体 BeCl2、固体 (BeCl2)n の結合はどのような結合であるかを、それぞれ説明せよ。
5) 酸素分子 O2 が電子基底状態で3重項である理由を、 分子軌道を示した上で答えよ。
6) 3中心2電子結合と3中心4電子結合を、例を挙げて説明せよ。
7) 14 族元素の酸化物の典型的な組成は、CO2, SiO2, GeO2, SnO, PbOである。Sn 以降で組成が異なる理由を説明せよ。
8) 14C を用いた年代決定の方法を説明せよ。
9) 13 族と 15 族のハロゲン化物の例を示し、13 族と 15 族の化合物の特徴を対比させて説明せよ。
10) 典型元素の同族元素で、周期律表を下がると、一般に 結合は不利になる。 この結果として化合物の安定な構造はどのように変化するか? 例を示して答えよ。
11) 第3遷移系列(第6周期)金属の原子化エネルギーは W(タングステン) で最大、Hg(水銀) で最小となる。この理由を説明せよ。

[周期律表 (省略 - 2000 年度の問題と同様)]


1998 年度
担当教官: 三好 明
試験日時: 平成10年9月1日(火)10:50 〜 12:20(90分)
指定クラス: 2年理1(10-15, 29)・理23(01-02, 04-06, 16)
教科書・ノート・資料などの持ち込みは不可
答案用紙: 両面2枚
(印刷が不鮮明などの場合以外、試験問題に関する質問
は受け付けない。)

物質化学(無機系化合物)試験問題

以下の問に答えよ。必要に応じて、 下の周期律表・電気陰性度の表を参照せよ。

問題1
1) 構成原理に基づいて以下の原子の基底状態の電子配置を書け。
  a) O (第 2 周期 16 族) b) Ni (第 4 周期 10 族)
2) 水素原子の 2s 軌道と 2p 軌道のエネルギーは等しい。第 2 周期以降の原子では 2s 軌道が 2p 軌道よりも低くなる理由を説明せよ。
3) 13-16 族典型元素化合物の以下の性質は、 周期律表を下がった時にどのように変化するか? その理由を示して説明せよ。
  a) ハロゲン化物の構造・結合のイオン性   b) 酸化物の構造・結合のイオン性・酸性-塩基性
4) ヘリウムやラドンが岩石中に存在している理由を説明せよ。

問題2
1) 気体の HCl, NaCl 分子の結合はどちらがイオン結合性が強いか? 理由を示して説明せよ。
2) PF5 分子の構造と結合形態を説明せよ。
3) B2H6 分子の構造を示し、 各々の結合の結合次数と結合の形態を説明せよ。
4) 第 3 遷移系列 (第 6 周期) 金属の融点は W(タングステン) で最高、 Hg(水銀) で最低となる。この理由を説明せよ。

問題3
1) O2 分子の分子軌道を示した上で、O2 分子とそのイオン (O22-, O2-, O2, O2+) の結合次数を推定せよ。
2) 水溶液中で、亜塩素酸 (HOClO) と過塩素酸 (HOClO3) はどちらが強い酸か? 理由を示して答えよ。
3) BF3, BCl3, BBr3 をルイス酸性の強い順に並べよ。またその理由を説明せよ。

[周期律表・電気陰性度の表 (省略 - 2000 年度の問題と同様)]