B1. |
剛体回転子近似のもとで H35Cl 分子
(回転定数 10.4 cm-1) の 299 K
のボルツマン平衡における回転量子数 = 4
の状態の回転基底状態 ( = 0)
に対する存在比を求めよ。
この温度において kT = 208 cm-1 である
(k はボルツマン定数)。
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B2. |
以下の (1)-(4) の分子振動について
赤外活性・ラマン活性を判別し、
回答例のように活性を○、不活性を×で答えよ。 |
回答例 ... (0) 赤外○、 ラマン× |
(1) | O3 (二等辺三角形)
3 (反対称伸縮) |
(2) | F2 伸縮振動 |
(3) | NH3 (アンモニア/ピラミッド型)
1 (全対称伸縮 = 3つの N-H
結合が同時に伸縮) |
(4) | HCCH (アセチレン/直線)
1 (対称伸縮 = 2つの C-H
結合が同時に伸縮) |
B3. |
金属原子 M の水素化物ラジカル MH の回転量子数
= 1 の状態から
= 2 の状態への吸収が、波数
33.8 cm-1 に観測された。
M-H 結合距離を単位 で求めよ
(1 = 10-10 m)。
M の質量は大きく、 M-H の換算質量は 1.0 amu であるとせよ。
また、 = 16.9 amu
2 cm-1 を用いよ。
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B4. |
調和振動子近似では、振動基底状態 (振動量子数
= 0 の状態) から
= 2 の状態への赤外吸収は禁制である。
このことを、二原子分子の振動を例にとり、振動座標 x
(x = r - re , r : 核間距離,
re : 平衡核間距離)
に沿った双極子モーメントと振動波動関数の特徴を示した上で説明せよ。
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B5. |
F 原子には、基底状態 (2P3/2,
多重度 4) より 404 cm-1 エネルギーの高い励起状態
(2P1/2, 多重度 2) が存在する。
以下の温度のボルツマン平衡における、
励起状態の基底状態に対する存在比を求めよ (k はボルツマン定数)。
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| (1) 291 K (kT = 202 cm-1),
(2) 581 K (kT = 404 cm-1)
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B6. |
濃度 50 mmol dm-3 に調整された、
コバルト錯体水溶液の紫外吸収を測定した。
光路長 1 cm の吸収セルを用いた時の波長 300 nm における透過率は 10 %
であった。
この波長におけるこの錯体のモル吸光係数 (底を 10 とする) を
M-1 cm-1
[= dm3 mol-1 cm-1] の単位で求めよ。
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B7. |
古典近似では、二原子分子の純回転遷移の吸収・発光は
分子回転周波数と一致する周波数に、
二原子分子の回転ラマンシフトは分子回転周波数の2倍の周波数に現れる。
この理由を、純回転遷移は双極子モーメント、
回転ラマン散乱は分極率による遷移であることから説明せよ。
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